2026/7/9(木)労働災害防止に関する啓発活動の一環として、職場における安全衛生管理の重要性を多角的に解説していただきました
熱中症対策
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危険性と法規制: 熱中症は死亡や重篤化の危険性が非常に高く、2022年の死亡者数30名を受け、2023年6月に厚生労働省が対策を法制化。結果、2023年の死亡者数は15名に減少したが、休業4日以上の死傷病者数は過去最多の約1600名に増加した。
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特性と初期症状: 症状が外部から見えにくく自己判断しがちで重症化しやすい。ふらつき、異常な発汗、痙攣、めまい、頭痛、こむら返りなどの初期症状に本人だけでなく周囲も注意が必要。
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高年齢労働者のリスク: 高齢者は体内の水分量が少なく、暑さへの感覚や体温調節機能が低下しているため、熱中症のリスクが高い。
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具体的な予防策:
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一人にしない: 体調不良者が出た場合、絶対に一人にせず誰かが付き添うことが最も重要。
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水分・塩分補給: 水だけの補給は脱水症状を悪化させる危険があるため、必ず塩分も同時に補給する。朝食で水分・塩分を補うことも重要。
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睡眠の確保: 十分な睡眠は熱中症予防に不可欠。寝る直前のスマホ操作は避ける。
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暑熱順化: 体が暑さに慣れるには5日〜2週間かかる。夏休みなど長期休暇明けは体がリセットされるため、特に注意が必要。暑さに慣れると塩分を保持する「サラサラした汗」をかくようになる。
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対策グッズ: アイスベストや、深部体温を感知しアラームで知らせる腕時計型デバイス「カナリア」などが有効。
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回復後のフォローアップ: 一度回復したように見えても容態が急変し死亡する事例があるため、帰宅後も複数回体調を確認する体制が重要。
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事業者の法的責任: 作業発汗を伴う作業場で塩を常備しなかったとして企業が書類送検された事例があり、事業者には適切な措置を講じる義務がある。
睡眠不足のリスク
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危険性: 睡眠不足は、がんや糖尿病などの疾病リスクを高め、生産性低下やヒヤリハット(体験率が1.18倍に増加)、事故につながる。
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対策: 厚生労働省は6時間以上の睡眠を推奨。質の高い睡眠を確保するため、リラックスした状態での入眠を心がける。
高齢労働者の安全衛生対策
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現状とリスク: 60歳以上の労働者の割合は約20%に達し、加齢とともに怪我の頻度と重篤化リスクが増大する。
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法令による位置づけ: 2022年4月から高齢者の安全対策が努力義務化された。
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身体的特性: 視力低下により段差に気づきにくいなど、若い頃との身体能力のギャップがある。
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対策: 段差解消やパワーアシストスーツ導入などの設備投資には国の補助金制度が活用できる。繰り返し教育を安全衛生管理計画に盛り込むことが有効。
転倒・墜落・転落災害の防止
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発生状況: 労働災害で最も多いのは転倒災害で、全休業災害の約4分の1を占める。特に高齢者や女性に多い。墜落・転落は建設業で減少傾向だが、他業種では「はしご」や「脚立」による災害が減っておらず、ヘルメット非着用での重大災害が後を絶たない。
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危険箇所と原因:
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通路のわずかな段差、突起物、配線、床の濡れや滑り。
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ホワイトボードの破損した脚部、浴室マットの隙間、厨房裏の油汚れなど、何気ない環境に危険が潜む。
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工場と事務所間の渡り廊下など、非作業エリアでの「ついで作業」も危険。
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事業者の法的責任: 労働安全衛生法は、事業者に通路を安全な状態に保つ義務を課しており、違反には罰則がある。
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具体的な対策:
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物理的改善: 段差のスロープ化、滑りにくい床材への変更、警告テープ(トラテープ)による視覚的注意喚起、配線の整理、手すりの設置。
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整理整頓: 「割れ窓理論」を応用し、一人ひとりが整理整頓を徹底する文化を醸成する。
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保護具の徹底: ヘルメット着用は生死を分ける。着用義務は5トン車以上から2トン車以上に拡大。暑熱対策仕様のヘルメットもある。
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掲示・表示の工夫: 「ドアの向こうに人がいるよ」といった具体的な表示や、視認性を考慮した掲示を行う。
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落下エネルギーの危険性: たった1mの高さからの落下でも時速16km程度の衝撃に相当し、頭部への衝突は致命的となる。
労働災害が発生しやすい状況「3つのH」
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災害は「初めて(Hajimete)」「変更(Henkou)」「久しぶり(Hisashiburi)」の状況で起こりやすい。
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初めて: 新入社員や、その現場での作業初日の経験者。
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変更: 担当業務や作業場所の変更時。慣れない環境では優秀な従業員でもミスをしやすい。
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久しぶり: 産休・育休や長期休暇からの復帰時。身体が業務についていけないギャップから災害が発生しやすい。
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この「3つのH」は、新しい機械、改造された機械、久しぶりに使う機械など、人だけでなく機械にも当てはまる。
腰痛予防
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腰痛予防指針: 男性が継続的に運ぶ重量は体重の約4割まで、女性はその6割(例:体重60kg男性なら24kg、女性は14.4kg)が目安。20kgのタンクなどは10kgに小分けする等の対策が求められる。
課題
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1. 自社の安全衛生管理計画に高齢労働者対策を具体的に盛り込み、熱中症の初期症状や対策、水分・塩分同時補給の重要性を職場内で共有・徹底する。
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2. 熱中症対策として、アイスベストや「カナリア」などの導入を検討し、初期症状発生時の即時医療機関搬送や、回復者の帰宅後フォローアップ体制を構築する。
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3. 従業員の睡眠不足リスクを周知し、啓発活動を行う。特に長期休暇明けは暑熱順化がリセットされるため、作業負荷軽減やこまめな休憩を指示する。
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4. 職場内の通路、床面、階段等の安全点検を実施し、段差、滑り、配線、穴などの危険箇所を特定し、段差解消材や滑り止め、手すり設置などの改善計画を立てる。
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5. ヘルメット着用ルールを「2トン車以上の荷役」等に拡大し、協力会社にも適用する。また、はしごや脚立の正しい使用方法を再周知する。
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6. 新入社員、配置転換者、長期休暇復帰者(「3つのH」該当者)への安全教育と、業務初期の重点的な見守りを実施する。
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7. 重量物の取り扱い基準を見直し、腰痛予防指針(女性約14.4kg上限等)に沿った運用(小分け等)を徹底する。
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8. 車両駐車時の輪止め使用をルール化し、フォークリフトの無資格運転を撲滅するための体制(複数有資格者配置、鍵管理等)を強化する。
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9. 経営トップ主導で、異なる部署間での相互安全パトロールを計画・実施し、好事例の横展開と改善点の是正を徹底する。
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10. 中災防の「安全衛生サポート事業」の利用を検討し、外部の視点を取り入れた安全活動を推進する。
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11. 事故やヒヤリハット発生時の報告体制を再確認し、労災隠しを絶対に防ぎ、全従業員で情報を共有して再発防止に繋げる文化を醸成する。
